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AGAと紫外線

普段私たちは、家から出て歩くだけで紫外線を浴びています。その紫外線が薄毛の原因になることを知っていますか?紫外線がどういったメカニズムで薄毛の原因になるのか、予防するにはどうしたらいいのか。それらの不安を解消すべく今回は紫外線と薄毛の関係性についてお話していきたいと思います。

AGAとは

AGA(AndroGenetic Alopecia,男性型脱毛症)とは、男性ホルモンであるテストステロンの変化したDHT(ジヒドロテストステロン)によってヘアサイクルが乱され、本来太く長く伸びるはずの髪の毛の成長期が短縮されてしまう為、毛髪が弱ってしまう脱毛症のことです。AGAには遺伝が深く関わっていると言われており、特に母親の家系の遺伝子が強く反映されることが多いようです。日本人男性のAGA発症率は50歳代以上で40%を超えるとされており、脱毛症の中でも特に可能性の高いものになります。前頭部の生え際が後退していわゆる「M字ハゲ」のような抜け方をしていたり、頭頂部から薄くなっている場合はまずAGAを疑ったほうが良いでしょう。その他、脱毛症には頭皮環境の悪化に伴い毛髪が抜けてしまう脂漏性脱毛症や粃糠性脱毛症、ストレスなどを引き金として自己免疫の異常が引き起こす円形脱毛症といったものが存在します。

紫外線で髪の毛が酸化してしまう

髪の毛はケラチンと呼ばれる数種類のアミノ酸(シスチン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン等)から構成されたケラチンという物質で作られています。髪の毛が紫外線を浴びてしまうとケラチンの中のアミノ酸が酸化し、結合力が弱まってしまいます。結合力が弱い髪の毛はキューティクルがはがれやすく軽く引っ張っても、ちぎれてしまうような脆い状態になってしまいます。キューティクルがはがれることによって色素が抜け、薄い髪色になったり水分量が減りパサついた髪の毛になることもあります。

濡れた髪の毛は紫外線の影響を受けやすい

髪の毛が濡れて水分を含んでいると、紫外線による髪の毛の酸化が促進されてしまい髪の毛のダメージが大きくなってしまいます。夏には家族や友人とプールに行ったり海水浴に行ったりと髪の毛が濡れた状態で屋外に出る機会が増えると思います。髪の毛を紫外線から守る為にも、海水浴やプールに行く日には髪のダメージを軽減させる手段を考える必要があります。

紫外線が頭皮に当たるとテストステロンを増やす可能性がある

太陽から放射されている紫外線が頭皮に当たると、男性ホルモンであるテストステロンが増殖します。AGAの原因はジヒドロテストステロンです。テストステロンと体内酵素の5a還元酵素(5aリダクターゼ)が反応することによって生成されます。紫外線によりテストステロンが増えたとしても影響はありませんが、ジヒドロテストステロンの生成を促す5aリダクターゼの分布量が多い人はテストステロンの量が増えたことによりジヒドロテストステロンの生成量が増え、薄毛の原因になってしまうことがあります。5aリダクターゼの分布量が少ない人は、さほど関係がないかもしれません。しかし、5aリダクターゼの分布量が多い人は反応率が高くなり、薄毛が促進してしまう可能性があるということを覚えておいてください。

毛母細胞にダメージが行くと薄毛になってしまう

強い紫外線を直接頭皮に浴びてしまうと、髪の毛の土台である毛母細胞がダメージを受けてしまうことがあります。毛母細胞が紫外線による強い負担を受け続けてしまうと細胞が死んでしまい髪の毛が生えてこなくなってしまいます。長時間紫外線にさらされた環境で働いている人や薄毛の人は毛母細胞に強いダメージを受けている可能性が高いので適切な紫外線対策を実施する必要があります。

AGAの改善とAGA治療薬

AGAの治療には主にフィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)、ミノキシジル(外用/内服)といったAGA治療薬を使用します。

フィナステリド

テストステロンをAGAの原因となるDHTに変える酵素「5a還元酵素」の働きを阻害し間接的にDHTの生成を抑制する事で、乱されていたヘアサイクルを整え毛髪が太く健康に生えてくるのを助けます。

デュタステリド

フィナステリド同様5a還元酵素阻害薬に分類され、テストステロンをDHTに変化させる5a還元酵素の活動を抑制する事でヘアサイクルを整えます。5a還元酵素には1型と2型があり、フィナステリドは2型5a還元酵素のみの活動を阻害する一方、デュタステリドは1型2型の両方の活動を抑制するためフィナステリドよりも発毛効果が高いことが知られています。

ミノキシジル

元々高血圧の経口治療薬として開発されていた過去があり、その血管拡張作用から頭皮の毛細血管を広げ髪の毛を作る毛乳頭細胞や毛母細胞を活性化させ発毛を促します。先発医薬品の名称はミノキシジル外用薬「ロゲイン」で、日本ではミノキシジル外用薬「リアップ」が販売されています。また国外では経口のミノキシジル、いわゆるミノキシジルタブレット(通称ミノタブ)での治療も一般的に行われています。

日頃のケアを忘れずに

上記でお話したフィナステリド(デュタステリド)とミノキシジルはそれぞれ作用機序が異なるため併用が可能です。単剤で使用するよりも併用したほうが発毛効果が高い事が分かっています。しっかり発毛を目指す方は併用をお勧めいたします。 ただ、日頃からのケアによってその後の経過も変わってくるでしょう。紫外線を避けるために直射日光を避けたり、帽子をかぶったり、頭皮用の日焼け止めを塗るなどして頭皮が浴びる紫外線の量を減らす必要があります。その他、紫外線が強いなと感じた日には、キューティクルの補修や保護の成分を含んだダメージヘア用のトリートメントなどでヘアケアをしましょう。もし強い日差しにより頭皮にひりつきや炎症が起きている場合には、水や氷嚢などで冷やすのがお勧めです。こういった小さなケアを積み重ねてく事も大事ですので、日頃のケアを心がけて薄毛を促進させてしまわないように注意しましょう。